umekunn’s note

思いついたこといろいろ書いていきます

【大レポ】ダイオードの電圧電流特性と整流回路

 

始めに

ダイオードの電圧電流特性と整流回路のレポートを載せる。

注意

※丸写しはやめてください

※レポートが正しくない可能性があるので注意してください

 

レポート:ダイオードの電圧電流特性と整流回路

1.実験目的


 ダイオードを順方向と逆方向に接続して、それぞれの電圧と電流の特性を理解し、整流用のダイオードを用いて、半波と全波の時のダイオードの整流特性や平滑回路の動作と特性の確認を行う。

2.原理


2-1.半導体のエネルギーバンド[1][2]


まずは、図1にケイ素の半導体のエネルギーバンド図を示す。

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半導体のエネルギーバンド図には、伝導帯、禁制帯、価電子帯がある。伝導帯は、ケイ素結晶中の電子や正孔が移動する通路のようなものであり、伝導電子がほとんど存在しない状態である。禁制帯は、伝導体と価電子のエネルギーの差であり、これをエネルギーギャップという。価電子帯は、伝導電子が隙間なく充満している状態である。この価電子帯の電子にエネルギーを与えると、電子は伝導帯に移動するようになる。具体的に言うと、熱エネルギーを与えると、電子の熱励起が起きて、価電子帯から伝導体に移行するということである。これをより具体的に理解するために、半導体であるp型半導体とn型半導体の両方の場合のエネルギーバンドについて考えていく。
まずは、p型半導体について考える。図2にp型半導体のエネルギーバンド図を示す。

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ケイ素の中に13族元素であるホウ素原子を入れると正孔が生じて、p型半導体になる。この時に、ホウ素が混入したことにより、不純物準位、別名アクセプタ準位という新しいエネルギー準位が形成される。そのため、この半導体に電界をかけた時に、電子が容易に不純物準位に移動して価電子帯に正孔ができるようになる。これが行われることによって、価電子帯に正孔が過剰になってしまう。このような半導体をp型半導体と言われる。
次にn型半導体について考える。図3にn型半導体のエネルギーバンド図を示す。

 
   

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ケイ素の中に15族のリン元素を入れると、リン元素は、価電子を5個持つので、1個の電子を放出する。放出された電子は、図3のように不純物準位にいるので、少しの熱エネルギーのよって、伝導帯に電子が励起することができる。この不純物準位と伝導体の距離は、エネルギーギャップよりも小さいので、容易に移動することができる。このような半導体をn型半導体という。
次に、pn接合について考えていく。図4にpn接合したエネルギーバンド図を示す。

 
   
 
   

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p型半導体とn型半導体を接続すると、p型はn型の方向へ、n型は、p型の方向へキャリアが拡散していく。p型領域に達した電子は、正孔と再結合し、n型領域に達した正孔は、電子と再結合して消滅して、図4のような空乏層を作る。ドナー準位とアクセプタ準位には、電子が抜けたり、入ったりしたことで正のドナーイオンと負のアクセプタイオンが生まれ、それによって、電位が生じて、図4の上図から下図に変化する。そして、電子の存在確率が2分の1になるフェルミ準位が直線になるときに安定な状態である熱平衡状態に移行するようになる。

2-2.コイルの電圧-電流特性


図5に交流電源と、コイルが接続された図を示す。

 
   

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交流電圧をV=V_0  sin⁡ωt とし、コイルの電圧をV_Lとおくと、V_Lは、
V_L=-L dI/dt
とおけるので、V+V_L=0において、、V=-V_Lとおけるので、
V_0  sin⁡ωt=L dI/dt
dI=V_0/L  sin⁡ωt  dt
これを積分すると、C1は積分定数とする。
I=∫▒〖V_0/L  sin⁡ωt  dt〗=-V_0/ωL  cos⁡ωt+C_1

電圧の最大値は、ωt=π/2+2πk(k:整数)の時に、 V=V_0 [V]となり、電流の最大値は、ωt=π+2πk(k:整数)の時にI=-V_0/ωL+C_1 [A]となる。電圧の最小値は、ωt=-π/2+2πk(k:整数)の時に、 V=-V_0 [V]となり、電流の最小値は、ωt=2πk(k:整数)の時にI=V_0/ωL+C_1 [A]となる。これを電圧電流特性の図として、図6に示す。

 
   

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2-3.コンデンサの電圧電流特性


図7にコンデンサと交流電源が接続した回路図を示す。

 
   

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交流電圧を、V=V_0  sin⁡ωt とし、コンデンサの電圧をV_C、電荷をQとおく。交流電源の電圧の方向を生とすると、起電力の向きは、常に逆向きなのを考慮して考えると、Q=CV_Cより、
V_C=-Q/C
V+V_C=0より、V=-V_C となるので、
V_0  sin⁡〖ωt=Q/C〗
Q=CV_0   sin⁡ωt 
I=dQ/dt を考慮して考えると    I=(dCV_0   sin⁡ωt )/dt=CV_0 ω cos⁡ωt

電圧の最大値は、ωt=π/2+2πk(k:整数)の時に、 V=V_0 [V]となり、電流の最大値は、ωt=2πk(k:整数)の時にI=CV_0 ω[A]となる。電圧の最小値は、ωt=-π/2+2πk(k:整数)の時に、 V=-V_0 [V]となり、電流の最小値は、ωt=π+2πk(k:整数)の時にI=-CV_0 ω[A]となる。これを電圧電流特性の図として、図8に示す。

 
   

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2-4.トランスの電流電圧特性


図9に交流電源とトランスが接続した回路図を示す。

 
   

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ファラデーの電磁誘導の法則と交流理論より
V_1=jωL_1 I_1+jωMI_2 ・・・①
V_2=jωL_2 I_2+jωMI_1=-RI_2 ・・・②
式②を変換して、I_2の値を求めると、
I_2=(jwMI_2)/(R+jωL_2 )
これを式①に代入して、V1を求めると、
V_1=I_1 (jωL_1+(ωM)^2/(R+jωL_2 ))
k_1=jωL_1+(ωM)^2/(R+jωL_2 ) とすると、〖    V〗_1=k_1 I_1 となる。
同様にV_2 をもとめると、I_2 は
I_1=(-(R+jωL_2 ) I_2)/jωM
となるので、式②に代入すると、V2は、
V_2=I_2 {-(RL_1)/M+j(ωM-(ωL_1 L_2)/M)}
k_2=-(RL_1)/M+j(ωM-(ωL_1 L_2)/M)とすると、〖    V〗_2=k_2 I_2 となる。

このことから、トランスの電圧と電流は、1次関数であることがわかったので、交流電源により、交流電圧をV=V_0  sin⁡ωtとする時の電圧電流特性の図を図10に示すと、

 
   

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2-5.交流電圧の実効値と平均値


2-5-1.交流電圧の実効値[3]


交流電圧の実効値は、2乗の平均値なので、電圧の実効値をV_a、周期をT、電圧をv(t)とおくと、
V_a=√(1/T ∫_0^T▒〖〖v(t)〗^2 dt〗)
となる。電圧の最大値をV_m、交流電圧をv(t)=V_m  sin⁡θ、T=2πとおく、
V_a=√(1/T ∫_0^T▒〖(V_m  sin⁡θ )^2 dθ〗)=V_m √(1/T ∫_0^T▒〖〖sin⁡θ〗^2 dθ〗)=V_m √(1/T ∫_0^T▒〖(1-cos⁡2θ)/2 dθ〗)
=V_m √(1/T [1/2 θ-sin⁡2θ/4]_0^2π )=V_m √(1/T×T/2)=V_m/√2

よって、実効値は、V_m/√2になることがわかる。

 

交流電圧の交流分の実効値は、電圧の実効値をV_AC、周期をT、電圧をv(t)、平均値をV0とおくと、

V_a=√(1/T ∫_0^T▒〖〖(v(t)-V_0)〗^2 dt〗)
と表すことができる。電圧の最大値をV_m、交流電圧をv(t)=V_m  sin⁡wt、平均値を=V_m Aとおくと、
V_a=√(1/T ∫_0^T▒〖(v(t)-V_0 )^2 dt〗)=√(1/T ∫_0^T▒〖〖v(t)〗^2-2v(t) V_0+〖V_0〗^2 dt〗)=√(〖V_m〗^2/T ∫_0^T▒〖〖sin⁡wt〗^2-2A sin⁡wt+A^2 dt〗)
=√(〖V_m〗^2/T ∫_0^T▒〖(1-cos⁡2wt)/2-2A sin⁡wt+A^2 dt〗)=V_m √(1/T [(-sin⁡2wt)/4w+(2A cos⁡wt)/w+(1/2+A^2 )t]_0^T )
wT=2πより
V_m √*1/(17.6/π)×100=π√(1/4-1/π^2 )×100≒121[%]
よって、図形から読み取れる値から導いたリップル率は、121[%]となることがわかった。

つぎに、デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、5.55[V]、交流分は、6.57 [V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=6.57/5.55×100=118[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、118[%]となることがわかった。


4-2-2.全波の時のダイオードの整流回路の測定


図27に全波の時にダイオードの整流回路の測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図27の全波時のダイオードの整流回路の測定では、入力電圧波形は、電圧の正方向にも負の方向にも、上凸と下凸の波を作るが、出力電圧波形では、入力電圧が正の方向でも負の方向でも、上凸の波を作ることが読み取ることができる。

この図27からリップル率を求める。
リップル率は、γ=実効値/出力電圧の平均値×100と求められるので、まずは、出力電圧の実効値Vaを求める。
原理より、Vm=17.8[V]、T=πの時
V_a=√(1/T ∫_0^T▒〖(V_m  sin⁡θ )^2 dθ〗)=V_m √(1/T ∫_0^T▒〖(1-cos⁡2θ)/2 dθ〗)=√(1/T [1/2 θ-sin⁡2θ/4]_0^π )=V_m √(1/T×T/2)=V_m/√2=17.8/√2

次に、出力電圧の平均値を求める。
原理より、Vm=17.8[V]、T=πの時
V_0=1/T ∫_0^T▒〖V_m  sin⁡θ dθ=V_m/T [-cos⁡θ ]_0^π=V_m/T (-cos⁡〖π+cos⁡0 〗 )=V_m/π×2=〖2V〗_m/π〗=(2×17.8)/π

実効値には、直流分が含まれているので交流分を引いた実効値VACは、
VAC=√(〖V_m/2〗^2-〖〖4V〗_m/π^2 〗^2 )=V_m √(1/2-4/π^2 )=17.6√(1/2-4/π^2 )

リップル率γは、
γ=V_a/V_0 ×100=(17.6√(1/2-4/π^2 ))/*2/2×100≒48.3=48[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、48[%]となることがわかった。

つぎに、デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、11.11[V]、交流分は、5.50[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=5.5/11.11×100=49.5[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、49.5[%]となることがわかった。

 


4-3.コンデンサ入力形平滑回路の測定


4-3-1.半波の時の.コンデンサ入力形平滑回路の測定


図28に半波の時の.コンデンサ入力形平滑回路で測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図28の半波の時のコンデンサの入力平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、ある程度の高さで入力電圧波形の正弦波に沿っているが、ある高さまで行くと右下方向の直線になり次の正弦波の山まで伸びて、交わったら入力電圧波形の正弦波に沿うというのを繰り返しているのが見て取れる。

デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、15.02[V]、交流分は、1.01[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=1.01/15.02×100=6.72[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、6.72[%]となることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4-3-2.全波の時の.コンデンサ入力形平滑回路の測定


図29に全波の時の.コンデンサ入力形平滑回路で測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図29の全波の時のコンデンサの入力平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、17.6[V]まで入力電圧波形の正弦波に沿っているが、ある高さまで行くと右下方向の直線になり1.60[V]まで下がったら、入力電圧波形の正弦波に沿うように上がるというのを繰り返しているのが見て取れる。

デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、16.18[V]、交流分は、0.47[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=0.47/16.18×100=2.90[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、2.90[%]となることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4-4.チョーク入力形平滑回路の測定


4-4-1.半波の時のチョーク入力形平滑回路の測定


図30に半波の時のチョーク入力形平滑回路の測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図30の半波の時のチョーク入力形平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、15.2[V]まで入力電圧波形と比べると少し時間の正方向に進んで正弦波を描いて、その後に0[V]まで下がっていき、約4分の1周期を0[V]のまま直線を描く。その後に、、15.2[V]まで入力電圧波形と比べると少し時間の正方向に進んで正弦波を描くというのを繰り返すのが見て取れる。

デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、4.9[V]、交流分は、5.7[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=5.7/4.9×100=116[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、116[%]となることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4-4-2.全波の時のチョーク入力形平滑回路の測定


図31に全波の時のチョーク入力形平滑回路の測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図31の全波の時のチョーク入力形平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、15.6[V]まで入力電圧波形と比べると少し時間の正方向に進んで正弦波を描いて、その後に6.4[V]まで下がっていき、また、15.2[V]まで入力電圧波形と比べると少し時間の正方向に進んで正弦波を描くというのを繰り返すのが見て取れる。

デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、10.85[V]、交流分は、3.15[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=3.15/10.85×100=29.0[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、29.0[%]となることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4-5.組合せ形平滑回路の測定


4-5-1.半波の時の組合せ形平滑回路の測定


図32に半波の時の組合せ形平滑回路で測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図32の半波の時の組合せ形平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、8.2[V]まで上昇した後に6.6[V]まで下がるという細長い正弦波を描いている。


デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、7.09[V]、交流分は、0.33[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=0.33/7.09×100=4.65[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、4.65[%]となることがわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4-5-2.全波の時の組合せ形平滑回路の測定


図33に全波の時の組合せ形平滑回路で測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図33の半波の時の組合せ形平滑回路の測定では、入力電圧波形は、正弦波を描いているが、出力電圧波形は、11.6[V]で横軸に水平な直線を描いていることが読み取れる。

 

デジタルマルチ―メーターで測定した出力電圧の直流分と交流分からリップル率を求める。

直流分、交流分の電圧を示すと、直流分は、10.85[V]、交流分は、0.09[V]となった。
原理から、リップル率は、
γ=0.09/10.85×100=0.83[%]

よって、デジタルマルチメーターで測定した値から導いたリップル率は、0.83[%]となることがわかった。


4-6.結果のまとめ


整流回路と各平滑回路のリップル率と直流電圧の表を表5に示す。

 
   

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5.考察


5-1.整流用の接合型ダイオードの静特性の測定


図25から整流用の接合型ダイオードの静特性について考察していく。図25から電圧がダイオードに対して正の方向にかけられたときに、電流は電圧に対して2次関数的に上昇していき、電圧がダイオードに対して負の方向にかけられたときには、電流は電圧がいくら変わっても全く変動せずに0[A]のままであることが読み取ることができる。この電圧を正にかけた時に電流が急激に大きくなり、電圧を正にかけた時に電流が0[A]のままになるということがダイオードの静特性だと考えられる。なぜ、このように電流が流れたり流れなかったりするのかは、考察課題の6-1で考察していく。

 

5-2.整流回路の測定


図26、27から整流回路の測定について考察していく。半波の時には、図26より出力電圧は、入力電圧よりも波形は小さくなり、入力電圧が負の値になるときには、出力電圧が0になることがわかる。これは、接合型ダイオードの静特性を用いて表されていると考えられる。5-1より、入力電圧が負の時には、電流が0[A]になるので、これを利用することで半波の波形を作っていると考えられる。全波の時は、図27より入力電圧よりも出力電圧の方が小さくなり、入力電圧が負の時には、出力電圧が正になることが読み取ることができる。これは、ダイオードダイオードブリッジのように接続することによってこのような全波の波形になることが考えられる。
次に、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率を比較する。半波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、118[%]、121[%]、全波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、49.5[%]、48.3[%]だった。このことから、全波の時の方が半波の時よりもリップル率が低くなり、より直流回路に近づいたと考えることができ半波の時よりも、全波の時の差が大きいと考えられる。この実験値と理論値に3[%]以上の誤差がなかったことから妥当であったと考えることができる。

 

5-3.コンデンサ入力形平滑回路の測定[5]


図28、29からコンデンサ入力形平滑回路の測定について考察していく。図28、29からコンデンサ入力形平滑回路は、電荷を蓄える機能を用いて平滑にしようとしていて、図28、29の正弦波に沿ったような形で上昇しているときが電荷を蓄えていて、右下方向に直線が引かれているところで放電を行うために図28、29のような図になる。また、コンデンサ入力平滑回路は、整流回路でまず整流させられるので、図26,27の影響を受けて、充電される波形である正弦波のように上昇する感覚が短くなることがわかる。
次に、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率を比較する。
まずは、半波の時リップル率をの図28から読み取った値から求める。

リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/*3, (参照 2021-11-03).

終わりに

参考になれば幸いです。(o*。_。)oペコッ

*1:-sin⁡4π)/(4×2π)+(2A cos⁡2π)/2π+(1/2+A^2 )-2A/2π)=V_m √(1/2+A^2 )
となる。

2-5-2.交流電圧の平均値[4]


交流電圧の平均値は、電圧の総和から平均時間を割ればいいので、交流電圧をv(t)、交流電圧の平均値をV_0、平均時間をTとおくと、
V_0=1/T ∫_0^T▒〖v(t)dt〗
となるので、最大電圧をV_m 、v(t)=V_m  sin⁡θ、T=πとすると、
V_0=1/T ∫_0^T▒〖V_m  sin⁡θ dθ=V_m/T [-cos⁡θ ]_0^T=V_m/T (-cos⁡〖π+cos⁡0 〗 )=V_m/π×2=(2V_m)/π〗
よって、平均値は、〖2V〗_m/πになることがわかる。

2-6.リップル


リップル率をγ、実効値をV_AC、出力電圧の平均値をV_DC、出力電圧の最大値と最小値をVmax、Vminとおく、
γ=V_AC/V_DC ×100 γ=出力電圧の交流分/出力電圧の直流分×10 γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×1000
と表される。

 


2-7.ダイオードの特徴


2-7-1.点接地形ダイオード


接触ダイオードゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)の小片に金属針や金属薄膜を接触させたもので、ショットキーダイオードともいう。接合容量が小さく、主に高周波用として用いられる。


2-7-2.接合型ダイオード


接合形ダイオードには合金形、拡散形、成長形等があり、点接触形に比べて接触面積が大きく、電流密度が 106(A/m2) でセレン(Se)等の 1000 倍以上の能力を持つため整流用に適している。次の式にダイオードの電圧、電流の関係を示す。
I=I_s (e^(eV⁄kT)-1)
Is:逆方向飽和電流、V:印加電圧、e:電子の電荷、k:ボルツマン定数、T:絶対温度(T)、I:電流

図11に点接合型ダイオードと接合型ダイオードの構造と記号を示す。

 
   

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2-8.整流回路


交流を直流に変換することを整流という。一方向ににしか流さない整流素子には、半導体ダイオードや 2極真空管などがある。

2-8-1.半波整流回路


図12に半波整流回路の回路図と時間による電流と電圧の変化図を示す。

 
   

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 図12に示すように、トランスの2次側に生じる交流電圧vが性になる半周期の間だけ、ダイオードを通る電流が負荷抵抗RLを実践の矢印方向に流れる回路である。整流効率は良くなく、リップル率も大きくなる。回路構造が簡単であり、小容量の電源に使用される。

2-8-2.全波整流回路


図13に全波整流回路の回路図と時間による電流と電圧の変化図を示す。

 
   

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図13に示すように、トランスの2次こうルノ中心にタップを設け、ダイオードを接続する。タップを基準に生じる交流電圧vの極性によって、半周期ごとに電流は、矢印の①、②に沿って切り替わるように流れるように、負荷抵抗RLには、全周期にわたって同一方向に電流が流れる。半波整流回路に比べて整流効率は良く、リップル率も少ない。


2-9.平滑回路


 半波整流回路や全波整流回路の出力電圧は、周期的に脈動している。この波動波形を平均化する回路を平滑回路という。コンデンサ入力形、チョーク入力形、組合せ形などがある。

 

2-9-1.コンデンサ入力形


図14にコンデンサ入力型平滑回路の回路図と時間による電流と電圧の変化図を示す。

 
   

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 図14(a)のように、負荷抵抗R¬¬Lにコンデンサを並列に接続した回路をコンデンサ入力形といい、出力電圧voは同図(b)の上段のように変化し、ダイオードを流れる電流iは同図 (b)の下段のようになる。ωt1から ωt2の間でコンデンサは充電され、電源電圧viがコンデンサの端子電圧より低くなると、コンデンサは時定数CRL にしたがって放電する。ωt3になって電源電圧viがコンデンサの端子電圧voより高くなると再びコンデンサは充電される。この動作を繰り返すことにより、出力電圧は滑らかになる。全波整流回路では充放電の繰り返し周期が半波整流回路の半分となり、リップルが減少する。ダイオードに流れる電流は間欠的になる。実効値VACと出力電圧voの平均値(直流電圧)VDCとの比であるリップル率を次の式を示す。
γ=V_AC/V_DC ×100[%]


2-9-2.チョーク入力形と組み合わせ入力形


 図15にチョーク入力形半波整流回路図と時間による電圧電流変化図、図16にチョーク入力形全波整流回路図と時間による電圧電流変化図、図17に組み合わせ入力形全並整流回路図を示す。

 
   

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図15(a)に示す半波整流回路の負荷抵抗RLに直列にチョークコイルLを挿入すると、インダクタンスの働きによって半波整流波形は図15(b)のようになる。一方、図16(a)に示す全波整流回路チョークコイルLを挿入した場合の全波整流波形は図16(b)のようになる.図15(b)、図16(b)からの結果が示すように チョークコイルLと抵抗RLだけでは十分な平滑波形は得られない。そのため、図17に示すようなチョーク入力形全波整流回路に平滑コンデンサCを加えた組み合わせ入力形全波整流回路が用いられる。

 

3.実験実施方法


3-1.実験手段


3-1-1.整流用の接合型ダイオードの静特性の測定


図18にダイオードの特性測定結線図を図19にダイオードの図を示す。

 
   

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表1に整流用の接合型ダイオードの静特性の測定のときの電流計と電圧計の測定レンジと負荷抵抗RL。と電圧の間隔を示す

 
   

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3-1-1-1.順方向特性測定


測定装置に図18(a)のように文字が書いてあるので図18(a)を参考にしながら、配線しダイオードを接続した。この時図19のダイオードの方向を意識して、接続を行い、R5Xに1[kΩ]の抵抗を探して、接続した。そして、電圧Ebbを変化させて、印加電圧VFを0.2[V]の間隔で0[V]から増加させて、電圧VFと電流IFを読み取った。この時、電流IFが30[mA]を超えない範囲で行った。

 

3-1-1-2.逆方向特性測定


測定装置に図18(b)のように文字が書いてあるので図18(b)を参考にしながら、配線してダイオードを接続した。この時、図19のダイオードの方向を意識して、接続を行い、R5Xに1[kΩ]の抵抗を探して、接続した。そして、電圧Ebbを変化させて、印加電圧VRを0.5[V]の間隔で0[V]から5[V]まで増加させて、電圧VFと電流IFを読み取った。

 

3-1-1-3.測定結果のまとめ


整流ダイオードの順方向特性、逆方向特性の測定結果を表にまとめて、V-I特性曲線を図示した。

 

3-1-2.整流回路の測定

3-1-2-1.ダイオードの整流特性の測定


図20にダイオードの整流特性の回路接続図を図21にオシロスコープの二股ケーブルを示す。

 
   

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実験回路の図20にある電源スイッチS1をOFFにした。そして、図20のような接続になるように150[Ω]の抵抗を探して接続した。また、図21のケーブルのフック部分をCH1の場合は、図18の31の部分にあるフックに接続し、CH2の場合は、150[Ω]の抵抗の導線部分にひっかけて、もう一つのはさむ部分は、GNDに接続するようにした。次に、スイッチS2のレバーを半波の方向に倒して、オシロスコープの電源をONにした後に、電源スイッチS1をONにした。そうすると、オシロスコープに波形が写るので、入力電圧波形と出力電圧波形を観察し、手書きのグラフとUSBに記録した。記録が終わったら、デジタルマルチメーター(DMM)を抵抗が熱いことを気にしながら、抵抗の導線部分に針を接させて、出力電圧の直流分VDCと交流分VACを測定した。この時、VDCとVACの切り替えは、デジタルマルチメーターを操作して切り替えた。そして、スイッチS2のレバーを全波の方向に倒して、半波の時と同様に測定を行った。測定後に、観察波形を図示して、出力電圧の直流分と交流分の実効値を計算して、デジタルマルチメーターの測定値からリップル率と結果から求めたリップル率を比較した。

 

 


3-1-2-2.コンデンサ入力形平滑回路の測定


図22にコンデンサ入力形平滑回路の測定の接続回路図を図23に使用するコンデンサの図を示す。

 
   

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スイッチS1をOFFにして、図22のように接続した。この時に、図23のコンデンサのように白い部分がマイナスの方向になるようにして、150[Ω]の抵抗を探して接続した。また、図21のケーブルのフック部分をCH1の場合は、図18の31の部分にあるフックに接続し、CH2の場合は、150[Ω]の抵抗の導線部分にひっかけて、もう一つのはさむ部分は、GNDに接続するようにした。その後、スイッチS2のレバーを半波の方向に倒して、電源スイッチS1をONにした。そうすると、オシロスコープに波形が写るので、出力電圧波形を観察し、手書きのグラフとUSBに記録した。記録が終わったら、デジタルマルチメーター(DMM)を抵抗が熱いことを気にしながら、抵抗の導線部分に針を接させて、出力電圧の直流分VDCと交流分VACを測定した。この時、VDCとVACの切り替えは、デジタルマルチメーターを操作して切り替えた。測定が終わったら、スイッチS2のレバーを全波の方向に倒して、半波の時と同様に測定を行った。

 

 


3-1-2-3.チョーク入力形平滑回路の測定


図24にチョーク入力形平滑回路の測定の接続回路図を示す。

 
   

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スイッチS1をOFFにして、図24のような接続になるように150[Ω]の抵抗を探して接続した。また、図21のケーブルのフック部分をCH1の場合は、図18の31の部分にあるフックに接続し、CH2の場合は、150[Ω]の抵抗の導線部分にひっかけて、もう一つのはさむ部分は、GNDに接続するようにした。そして、スイッチS2のレバーを半波の方向に倒して、電源スイッチS1をONにした。そうすると、オスロスコープに波形が映し出されるので、出力電圧波形を観察し、手書きのグラフとUSBに記録した。その後、デジタルマルチメーター(DMM)を抵抗が熱いことを気にしながら、抵抗の導線部分に針を接させて、出力電圧の直流分VDCと交流分VACを測定した。この時、VDCとVACの切り替えは、デジタルマルチメーターを操作して切り替えた。そして、全波の測定をするために、スイッチS2のレバーを全波の方向に倒して、半波の時と同様に測定を行った。

 

3-1-2-4.組合せ形平滑回路の測定


図25に組合せ形平滑回路の測定の接続回路図を示す。

 
   

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スイッチS1をOFFにして、図25のように接続した。この時に、図23のコンデンサのように白い部分がマイナスの方向になるようにして、150[Ω]の抵抗を探して接続した。また、図21のケーブルのフック部分をCH1の場合は、図18の31の部分にあるフックに接続し、CH2の場合は、150[Ω]の抵抗の導線部分にひっかけて、もう一つのはさむ部分は、GNDに接続するようにした。そして、スイッチS2のレバーを半波の方向に倒し、電源スイッチS1をONにした。そうすると、オシロスコープに波形が映し出されるので、出力電圧波形を観察し、手書きのグラフとUSBに記録した。その後、デジタルマルチメーター(DMM)を抵抗が熱いことを気にしながら、抵抗の導線部分に針を接させて、出力電圧の直流分VDCと交流分VACを測定した。この時、VDCとVACの切り替えは、デジタルマルチメーターを操作して切り替えた。そして、全波の測定をするために、スイッチS2のレバーを全波の方向に倒して、半波の時と同様に測定を行った。

 

3-1-2-5.結果のまとめ


各平滑回路の電圧波形を図示して、整流回路と各平滑回路のリップル率と直流電圧VDCを表にまとめた。

 

3-2.実験器具


表2に使用機器と器具の一覧を示す。

 
   

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図26から図31に器具の図を示す。

 
   

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4.実験結果


4-1. 整流用の接合型ダイオードの静特性の測定


4-1-1.順方向特性測定


表3に順方向特性測定の測定結果を示す。

 
   

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4-1-2.逆方向特性測定


表4に逆方向特性測定の測定結果を示す。

 
   

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4-1-3.測定結果まとめ


図32に表3と表4の測定結果を図として示す。

 
   

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図32は、横軸を電圧、縦軸を電流として扱い、順方向を正、逆方向を負として、図に表されている。順方向の時は、ある程度電流が流れたら急激に電圧が上昇してしまうことがわかる。対して、逆方向の時は、電流が流れても一切電圧が変化しないことが読み取ることができる。

 

4-2.ダイオードの整流回路の測定


4-2-1.半波の時のダイオードの整流回路の測定


図26に半波の時にダイオードの整流回路の測定した出力電圧波形と入力電圧波形を示す。

 
   

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図26の半波時のダイオードの整流回路の測定では、入力電圧波形は、電圧の正方向にも負の方向にも、上凸と下凸の波を作るが、出力電圧波形では、電圧が正の方向の時のみに、上凸の波を作り、入力電圧が、負の方向の時には、0[V]となることが読み取ることができる。

この図26の波形からリップル率を求める。
リップル率は、γ=実効値/出力電圧の平均値×100と求められるので、まずは、出力電圧の実効値Vaを求める。
原理より、Vm=17.6[V]、T=2πの時
V_a 〖=√(1/2π ∫_0^2π▒〖(V_m  sin⁡θ )^2 dθ〗)=V_m √(1/2π ∫_0^π▒〖〖sin⁡θ〗^2 dθ〗+∫_π^2π▒0dθ)=V_m √(1/2π ∫_0^π▒〖(1-cos⁡2θ)/2 dθ〗)=V〗_m √(1/2π [1/2 θ-sin⁡2θ/4]_0^π )=V_m √(1/2π×π/2)=V_m/2=17.6/2

次に、出力電圧の平均値を求める。
原理より、Vm=17.6[V]、T=2πの時
V_0=1/2π ∫_0^2π▒〖V_m  sin⁡θ dθ=V_m/2π [-cos⁡θ ]_0^π=V_m/2π (-cos⁡〖π+cos⁡0 〗 )=V_m/2π×2=V_m/π〗=17.6/π

実効値には、直流分が含まれているので交流分を引いた実効値VACは、
VAC=√(〖V_m/4〗^2-〖V_m/π^2 〗^2 )=V_m √(1/4-1/π^2 )=17.6√(1/4-1/π^2 )

リップル率γは、
γ=V_a/V_0 ×100=(17.6√(1/4-1/π^2

*2:2×17.8)/π)×100=(π√(1/2-4/π^2

*3:V_max+V_min)/2)×100と求められるので図28より、
γ=(18.2-14.6)/((18.2+14.6)/2)×100=(3.6×2)/32.8×100=21.95≒22.0[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、22.0[%]となることがわかった。
次に、全波の時リップル率をの図29から読み取った値から求める。
リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100と求められるので

γ=(17.6-16.0)/((17.6+16.0)/2)×100=(1.6×2)/33.6×100=9.523≒9.52[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、9.52[%]となることがわかった。

半波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、6.57[%]、22[%]、全波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、2.9[%]、9.57[%]だった。このことから、全波の時の方が半波の時よりもリップル率が低くなり、より直流回路に近づいたと考えることができる。次になぜ図からの値とデジタルマルチメーターに差が生まれたのかを考える。デジタルマルチメーターで出力される線は、波であり振幅しているので正確な値を測ることができなかったのと、出力する際に損失が生まれたことによって正確な値が導き出せなかったからだと考えられる。また、手で値を測る線を動かすことによって、正確な値が導き出せなかったと考えられる。しかし、半波から全波を比べると、リップル率が小さくなっていることから間違ってはいないことがわかる。

 

5-4.チョーク入力形平滑回路の測定[6]


図30,31からチョーク入力形平滑回路の測定を考察していく。図30,31からチョーク入力形平滑回路では、半波の時は、入力電圧よりも出力電圧は遅れて出力されていて、図26のように負の電圧の時0[V]になるようになっている。全波の時は、出力電圧波形は、入力電圧の正弦波の周期に2つの周期が入り、入力電圧波形よりも小さい波形になっていると考えることができる。これは、コンデンサによって電流が平滑された結果だと考えることができる。まず、なぜ入力電圧より進むかは、交流電圧の時コイルの電圧は電流よりも90[°]早く進むので、入力電圧の波形の時に電流が平滑されて、それに伴い、出力電圧が前に進むと考えられる。次に、チョーク入力形平滑回路の出力特性を図34に示す。

 
   

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図34から出力電圧は出力電流がある値を超えると変化が極めて小さくなっていることがわかる。このことから、電流が一定の値にならないと、電圧の直流分よりも交流分の方が大きくなって不連続になる為に、図30のようになり、ある一定の電流値を超えると、電圧の直流分の方が交流分よりも大きくなり、連続になるので図31のような図になることがわかる。

次に、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率を比較する。
まずは、半波の時リップル率を図30から読み取った値から求める。

リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100と求められるので

γ=(15.2-0)/((15.2+0)/2)×100=(15.2×2)/15.2×100=200≒200[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、200[%]となることがわかった。

次に、全波の時リップル率を図31から読み取った値から求める。

リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100と求められるので

γ=(15.6-6.4)/((15.6+6.4)/2)×100=(9.2×2)/22×100=83.6≒84[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、84[%]となることがわかった。

半波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、116[%]、200[%]、全波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、29[%]、84[%]だった。このことから、全波の時の方が半波の時よりもリップル率が低くなり、より直流回路に近づいたと考えることができる。次になぜ図からの値とデジタルマルチメーターに差が生まれたのかを考える。デジタルマルチメーターで出力される線は、波であり振幅しているので正確な値を測ることができなかったのと、出力する際に損失が生まれたことによって正確な値が導き出せなかったからだと考えられる。また、手で値を測る線を動かすことによって、正確な値が導き出せなかったと考えられる。また、誤差が大きすぎることから、この計算方法が間違っていると考えられる。原理より、(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100のこの式は、コンデンサの場合のみ用いることができるのではないかと考えられた。しかし、半波から全波を比べると、リップル率が小さくなっていることからおおよその結果は間違っていないとが得られる。


5-5.組合せ形平滑回路の測定


図32、33から組合せ形平滑回路の測定を考察していく。図32、33から半波の時は、振幅が小さいが、正弦波ができていて、全波の時は、横軸に平行な直線になっていることが読み取れる。これは、チョーク入力形平滑回路にコンデンサ入力型平滑回路を加えることでこのような回路を作ることができる。

次に、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率を比較する。
まずは、半波の時リップル率を図32から読み取った値から求める。

リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100と求められるので

γ=(8.2-6.6)/((8.2+6.6)/2)×100=(1.6×2)/14.8×100=21.6≒22[%]

よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、22[%]となることがわかった。

次に、全波の時リップル率を図33から読み取った値から求める。

リップル率は、原理より、出力電圧の最大値と最小値をV_max,V_min とすると、γ=(V_max-V_min)/((V_max+V_min)/2)×100と求められるので

γ=(11.6-11.6)/((11.6+11.6)/2)×100=(0×2)/23.2×100=0≒0[%]
よって、波形から読み取れる値から導いたリップル率は、0[%]となることがわかった。

半波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、4.65[%]、22[%]、全波の時は、デジタルマルチメーターのリップル率と図から読み取ったリップル率は、0.83[%]、0.0[%]だった。このことから、全波の時の方が半波の時よりもリップル率が低くなり、より直流回路に近づいたと考えることができる。次になぜ図からの値とデジタルマルチメーターに差が生まれたのかを考える。デジタルマルチメーターで出力される線は、波であり振幅しているので正確な値を測ることができなかったのと、出力する際に損失が生まれたことによって正確な値が導き出せなかったからだと考えられる。また、手で値を測る線を動かすことによって、正確な値が導き出せなかったと考えられる。しかし、実験値も図から求めた値もリップル率は半波よりも全波の方がちいさくなっているのでおおよそはあっていると考えられる。


5-6.まとめ


今回の実験では、図からの値と実験値のリップル率には差があったと考えられる。主な原因としては、オスロスコープの接続による損失や用いられた抵抗などに手垢や汚れがついていたことや熱によってコンデンサやコイルの抵抗が変化してしまったことなどがあげられる。また、理論値を求めるのに最適な計算方法ではなかったのも関係していると考えられる。このため、交流分の電圧に直流分が含まれたことで、理論値と実験値の誤差が生まれてしまったと考えられる。しかし、半波の時よりも全波の時の方がリップル率が低くなることは理論値と実験値共に起こっていたので、実験は成功していたと考えられる。

 

6.考察課題


6-1.p-n接合型ダイオードのそれぞれについて、熱平衡時、順方向バイアス印加時、逆方向バイアス印加時のエネルギーバンド図を示し、キャリア(電子、正孔)の流れについて述べよ。

 

熱平衡時、順方向バイアス印加時、逆方向バイアス印加時のエネルギーバンド図を、図35、図36、図37、として示す。

 
   

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熱平衡の時
p-n接合型ダイオードの熱平衡時のエネルギーバンド図は、図35の時のような図になる。原理で説明したとおりに、p型半導体とn型半導体を接続すると、p型はn型の方向へ、n型は、p型の方向へキャリアが拡散していく。p型領域に達した電子は、正孔と再結合し、n型領域に達した正孔は、電子と再結合して消滅して、図4のような空乏層を作る。ドナー準位とアクセプタ準位には、電子が抜けたり、入ったりしたことで正と負が生まれ、それによって、電位が生じて、図4の上図から下図に変化する。そして、電子の存在確率が2分の1になるフェルミ準位が直線になるときに安定な状態である熱平衡状態に移行するようになる。この熱平衡状態を示した図は、図35である。

順方向バイアス印加する時
p-n接合型ダイオードの順方向バイアス印加時のエネルギーバンド図は、図36の時のような図である。まずは、p-n接合時の抵抗を考えてみると、p.n型には、キャリアがあるので、電気抵抗率は低く、空乏層の所は、キャリアがないので電気抵抗率が高いと考えられる。また、図35を見ても、直列に抵抗がつながっていると考えられるので、低抵抗と高抵抗の直列につながった抵抗と考えられる。低抵抗、高抵抗をR¬1、R2とおき、その低抵抗と高抵抗の電圧をV1、V2と考えると、順方向を正とする電圧Vをかけた時、
V_1=R_1/(R_1+R_2 ) V=R_1/R_2   1/((R_1/R_2 +1) ) V      V_2=R_2/(R_1+R_2 ) V=1/((R_1/R_2 +1) ) V
と表される。R_2≫R_1の時に、V_1=0[V]、V_2=V[V]となり、高抵抗に電圧が多くかかるので、電圧がかかるときには、空乏層へすべての電圧がかかると考えられる。なので、順方向バイアスの時に電圧Vかかるとすると、図35から図36のように、拡散電圧Vdからかけた電圧Vが引かれてエネルギー障壁が低くなり、傾きが小さくなると考えられる。その結果、電子と正孔は、熱平衡状態の時よりもp型やn型に行く確率が高くなると考えられる。そのため、電子や正孔が移動して、電流が流れるということが起きるということがわかる。

逆方向バイアス印加する時
p-n接合型ダイオードの逆方向バイアス印加時のエネルギーバンド図は、図37の時のような図である。順方向の時と同様に、空乏層にすべての電圧がかかると考えられる。順方向を正とする電圧Vを考えると、逆方向に電圧をかけた時に、エネルギー障壁の電圧が増加して、エネルギー障壁が高くなることがわかる。そして、空乏層の傾きが大きくなると考えられる。これは、図35から図37の変化だと考えられる。そのため、電子と正孔は、熱平衡状態の時よりもp型やn型に行く確率が低くなり、電流が流れにくくなってしまうと考えられる。それを示したのが、図37である。

 

 

 


6-2.本実験で用いたダイオードを含む各種ダイオードの記号、特徴、用途を表にまとめよ。


本実験で用いたダイオードを含む各種ダイオードの記号、特徴、用途を表6に示す。

 
   

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6-3.平滑回路において、コンデンサ入力型とチョーク入力型の出力波形が異なる理由について考察せよ。[5][6][7]


まずは、チョーク入力型の出力波形について考えていく。
図38、39にインダクタンス負荷の半波整流回路とインダクタンスがあるときの波形図を示す。

 
   

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直流側の電圧Eは、L,Rで次のように表される。

E=v_L+v_R=L (di_d)/dt+Ri_d
図39に示したvRの波形は、v_R=Ri_dなので、電流i_dと同じ波形を示すことがわかる。抵抗の電圧は、θ_mで最大になることがわかる。このことから、電流の値も最大になり、定数になるので、コンデンサの電圧は、L (di_d)/dt=0となる。この位相を起点にして、θ_mに至るまでにインダクタの電圧は、図39に示した通りにインダクタンスに電圧が蓄積していて、これ以降は放出するようになる。そのため、θ=πとなって、電圧Eが、0[V]になっても、インダクタンスの電圧が残っている影響で、抵抗Rに電圧が加わることになり、θ=π+βになるまで抵抗の電圧の波形が伸びることになる。そのために、電圧Eの波形よりも小さく、位相が長い波形になる。

次にコンデンサ入力型の出力波形について考えていく。
図40にコンデンサの入力整流回路の電圧図を示す。

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図40で示した通り、抵抗の電圧の波形図は、入力電圧が、直流電圧の平均値Ebよりも高い時にコンデンサが充電されて、その時の波形は、入力電圧と同じ波形になる。しかし、入力電圧が直流電圧の平均値よりも小さくなったら、コンデンサは、放電を行うので、右斜め下の1次直線になる。それが繰り返されることによってコンデンサの入力型の出力波形が作られる。


このようなことから、コンデンサ入力型とチョーク入力型の出力波形が異なる理由は。コンデンサ入力型は、直電圧の平均値よりも高いところで電気を溜めて、低いところで放電することで出力電圧波形に影響を与えている。しかし、チョーク入力型は、抵抗の最大値になるまでインダクタンスが充電されて、その後には蓄えられたインダクタンスの電圧の影響を抵抗が受けることで、位相が入力電圧よりも長くなるというような違いがあるから、コンデンサ入力型とチョーク入力型の出力波形が異なると考えられる。


7.参考資料


    [1]澤岡昭:電子・光材料[第2版新装版]基礎から応用まで,p84-88,森北出版株式会社,2020年, 第2版新装版第1刷.
   [2] "不純物準位[エレクトロニクス]", 情報・知識 imidas 2018, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-11-03).
    [3]金原粲,加藤政一, 和田成夫, 佐野雅敏, 鷹野致和, 田井野徹, 高田進:専門基礎ライブラリー電気回路改訂版,p50,実教出版株式会社,2019年,第3刷.
   [4] 金原粲,加藤政一, 和田成夫, 佐野雅敏, 鷹野致和, 田井野徹, 高田進:専門基礎ライブラリー電気回路改訂版,p117,実教出版株式会社,2019年,第3刷.
   [5] Parasonic,制御機器知恵袋,リレー関連情報,直流コイルの入力電源とリップル率について, 2015年02月25日、「直流コイルの入力電源とリップル率について (panasonic.co.jp)」, (参照 2021-11-03).
   [6] 山本昌志,Yamamoto’slaboratory,2005年10月21日,「2 原理 (yamamo10.jp)」, (参照 2021-11-03).
    [7]森元雅之:よくわかるパワーエレクトロニクス,p65-66,p69-71,森北出版株式会社,2016年,第1版第1刷.
   [8] Electrical Information,「ダイオードの『種類』と『特徴』と『記号』について!」,(ダイオードの『種類』と『特徴』と『記号』について! (detail-infomation.com