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【大レポ】RLC回路の特性測定

 
 

 

はじめに

「RLC回路の特性測定」のレポートを掲載します。

注意

※レポートの丸写しはやめてください。

※レポートの内容があっていると限りません

レポート

1.実験目的

RR、RL、RC回路において、全体の電圧とR2の電圧の波長の違いを確認してインピータンスを理解する。また、積分回路と微分回路の過渡応答を確認し、特性測定を行う。そして、時定数と遮断周波数を確認すし、RLC回路を通じて、共振周波数や共振曲線を理解する。


2.原理


2.1インピータン


交流回路に電流を流した時にその電流の流れにくさを表している。主に、電流を流れにくくしているのは、抵抗R、キャパシタC(コンデンサ)やインダクタL(コイル)である。このCやLの値は、角周波数ωに依存していて、1/ωC、ωLと表されることができる。これらのような交流回路に生まれた全体の抵抗をZ[Ω]と表すことができ、インピータンスであると考えることができる。この抵抗は、オームの法則を用いて交流回路全体の電流と電圧をI,Vとして導くと、Z=V/Iと表すことができる。抵抗、コンデンサ、コイルのインピータンスを表すと
抵抗     Z=R 
コンデンサ Z=jωL  
コイル  Z = 1/jωC
   電圧をv(t)、電流をi(t)としたときに、コンデンサとコイルは、時間の微分積分で表すことができる。
   コンデンサ v(t) = 1/C ∫▒i(t)dt
   コイル    v(t) = L (di(t))/dt

2.2オームの法則


電圧をV、電流をI、抵抗をZとして表すと、V=RI と表すことができる。

2.3過渡現象と周波数特性


2種類のCR回路を図1に示す。

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CR回路には、2つの種類がある。この2つの種類の回路によってそれぞれ出力電圧が異なる。このことを考えるために図1の回路を用いて電圧、電流を定義して考えていく。
(ⅰ)図1(a)のCR回路の場合
vc+vout = vin
電気量をQ(t)とおくと
vc= (Q(t))/C = 1/C ∫▒i(t)dt vout=Ri
よって
1/C ∫▒i(t)dt + Ri = vin ・・・①

初期条件として、Q(t)=0、vin= 0として、t=0の時に、vin が0[v]からVin[v]に変わるとする。
①の両辺をtで微分すると、
(i(t))/C + R(di(t))/dt = 0
      (di(t))/(i(t))=-dt/CR
両辺を積分する。(積分定数をAとする。)
        log⁡i=-t/CR+A
i=e^(-t/CR+A)
初期条件よりt=0の時、i(t)=Vin/R であるので、
          Vin/R=e^A
よって   
          i=V_in/R e^(-t/CR)
求める電圧は、vout=R・i=vine^(-t/CR) ・・・②

次に遮断周波数を求める
各周波数をωとすると、キルヒホッフの法則より、vinとvoutを求めると、図1の(a)より
vin = (R-j/ωC)I
vout=RI
電圧の入力比は、
|v_out/v_(in ) |=R/|R-j/ωC| =R/√(R^2+1/〖(ωC)〗^2 )=1/√(1+1/〖(ωRC)〗^2 )
遮断周波数は、電圧の出入力比が 1/√2 になる 1/〖(ωRC)〗^2 =1 の時なので、角周波数はω=1/RC となる。
遮断周波数は、f=ω/2π=1/2πRC となる。
また、時定数は、τ=1/ω=RCとなる。
この時の②の出力電圧と時間の図を簡易的に図2で示す。

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図2に示した通りに、voutはこのような図になる。そして、t=0の時の電圧の最大値から曲線に接線を引いた線と出力電圧が0[V]の時の水平線との交点の時間が時定数の値になる。時定数の時間の出力電圧は、最大電圧の約37%になるというのもわかる。

(ⅱ)図1(b)のCR回路の場合
vout+vR = vin
電気量をQ(t)とおくと
vout= (Q(t))/C = 1/C ∫▒i(t)dt vR=Ri
よって
 1/C ∫▒i(t)dt + Ri = vin ・・・①
初期条件として、Q(t)=0、vin= 0として、t=0の時に、vin が0[v]からVin[v]に変わるとする。
①の両辺をtで微分すると、
(i(t))/C + R(di(t))/dt = 0
      (di(t))/(i(t))=-dt/CR
両辺を積分する。(積分定数をAとする。)
        log⁡i=-t/CR+A
i=e^(-t/CR+A)
初期条件よりt=0の時、i(t)=Vin/R であるので、
          Vin/R=e^A
よって   
          i=Vin/R e^(-t/CR)

この値をvoutに代入すると、
v_out=1/C ∫0^t▒〖V_in/R e^(-t/CR) dt〗=V_in/CR [-CR(e^(-t/CR))]_0^t=V_in (1-e^(-t/CR))・・・③ 次に遮断周波数を求める 各周波数をωとすると、キルヒホッフの法則より、vinとvoutを求めると、図1の(a)より vin = (R-j/ωC)I vout=RI 電圧の入力比は、 |v_out/v(in ) |=|-j/ωC|/|R-j/ωC| =(1/ωC)/√(R^2+1/〖(ωC)〗^2 )=1/√(1+〖(ωRC)〗^2 )
遮断周波数は、電圧の出入力比が 1/√2 になる 〖(ωRC)〗^2=1 の時なので、角周波数はω=1/RC となる。
遮断周波数は、f=ω/2π=1/2πRC となる。
また、時定数は、τ=1/ω=RCとなる。
この時の③の出力電圧と時間の図を簡易的に図3で示す。

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図3に示した通りに、voutはこのような図になる。そして、t=0の時の電圧の最大値から曲線に接線を引いた線と出力電圧がVin[V]の時の水平線との交点の時間が時定数の値になる。時定数の時間の出力電圧は、最大電圧の約63%になるというのもわかる。

2.4ハイパスフィルタとローパスフィルタ[1][2]


ハイパスフィルタとは、ある周波数より低い帯域の信号を通さず、高周波を良く通すフィルター回路の事であるこれは、CR回路であることが、2.3の(i)にある図2から読み取ることができる。電圧の入出力比から、角周波数が大きくなるほど、1に近くなる。このため、角周波数に比例する周波数においても考えられるので、高周波が遮断周波数を超えて伝わり、低周波数は伝わらないことがわかる。ローパスフィルタは、電気回路で、ある周波数より高い帯域の信号を通さず、低周波をよく通すフィルター回路である。これは、RC回路であることが、2.3の(ⅱ)にある図3から読み取ることができる。電圧の入出力比から、角周波数が小さくなるほど、1に近くなる。このため、角周波数に比例する周波数においても考えられるので、低周波数が遮断周波数を超えないため伝わり、高周波数は伝わらないことがわかる。

2.5デシベル表示[3]


利得とは、入力信号に対して出力信号が増幅される割合を示すパラメーターである。この電圧の利得をA、入力電圧VIn、出力電圧をVoutとおいて、電圧の利得を示すと
A=V_out/V_In
と表すことができる。この電圧利得をデシベル表示GVとして直すと、
G_V=20 log_10⁡〖|A|=20 log_10⁡〖|V_Out/V_In |[dB]〗 〗
と以上のように表すことができる。

2.6周波数特性[4]


(ⅰ)図1(a)のCR回路
このCR回路の利得Aは、
A=1/√(1+1/(ωRC)^2 )
と表される。この値を、デシベル表示に直すと、
G_V=20 log_10⁡〖|A|=20 log_10⁡〖|{1+1/(ωRC)^2 }^*1
と表すことができる。この式において、ωL-1/ωC=0の時の角周波数を考える。
ωL=1/ωC
ω^2=1/LC
ω=1/√LC
この時に、電流の値が、最大値になり、この時の周波数は、f=ω/2π=1/(2π√LC) となり、この時の周波数は、共振周波数という。
(ⅱ)並列共振回路
図5にRLCの並列している回路を示す。

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この時の合成アドミタンスは、抵抗をR,コンデンサをC,コイルをLとおくと
Y=1/R+j(ωC-1/ωL)
角周波数をω、電圧をV.電流をIとおくと、キルヒホッフの法則より、電圧は、
V=I/(1/R+j(ωC-1/ωL))
と表すことができる。この式において、ωC-1/ωL=0の時の角周波数を考える。
ωC=1/ωL
ω^2=1/LC
ω=1/√LC
この時に、電流の値が、最大値になり、この時の周波数は、f=ω/2π=1/(2π√LC) となり、この時の周波数は、共振周波数となる。

3.実験方法

3.1 実験方法

3.1.1 インピータンスの測定

3.1.1.1 RR回路


図6にRR回路の回路図と図7に受動素子測定の設置図を示す。

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①97.94[Ω]の抵抗R1及び97.02[Ω]の抵抗R2を受動素子特性測定のパネル上で図6のように直列に接続し、最大電圧が2[V]、周波数がf[kHz]の正弦波電圧(V1)を印加した。そして、この時にR2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値と位相を求めて、V1の関係としてひとつのグラフに図示した。
②図7のように、オシロスコープ、受動素子特性測定のパネル、発振器を設置した。そして、発振器の出力を最低にした。
③97.94[Ω]の抵抗R1及び97.02[Ω]の抵抗R2を受動素子特性測定のパネル上で図6のように直列に接続した。この際に、オシロスコーププローブは、単針になっていない方をGNDになるように設置し、マイナスのケーブルからつけるようにした。
④発振器を操作して、最大電圧が2[V]の正弦波電圧(V1)を印加した。そして、この時にオスロスコープに図を図示し、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値とV1とV2の位相差を記録して、図をUSBに記録した。

3.1.1.2 RC回路


①RR回路の抵抗R1を0.1004[μF]のコンデンサCに変更し、同じく電圧V1とV2の関係を論理的に求め、ひとつのグラフに図示した。
②実験パネルに実際の素子を接続して、オシロスコープで図を表示して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値とV1とV2の位相差を記録して、図をUSBに記録した。

3.1.1.3 RL回路


①RR回路の抵抗R1を484.56[μH]のコイルLに変更し、同じく電圧V1とV2の関係を論理的に求め、ひとつのグラフに図示した。
②実験パネルに実際の素子を接続して、オシロスコープで図を表示して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値とV1とV2の位相差を記録して、図をUSBに記録した。

3.1.1.4.抵抗値の測定


①デジタルマルチメーターを用いて、コンデンサCとコイルLの抵抗値をそれぞれ測定した。

3.1.2 微分回路の過渡応答


①103[pF]のコンデンサCと2[kΩ]の抵抗R2を図1(a)のように接続し、これに最大電圧2[V]、周波数がfの短形波電圧(V1)を印加し、抵抗R2の端子間電圧をオシロスコープで観察し、USBで記録した。

3.1.3 ハイパスフィルタの特性測定


図8にハイパスフィルタの特性測定の設置図を示す。

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①図8のように発振器、電子電圧計、受動素子特性測定のパネルを設置した。
②10[nF]のコンデンサCと2[kΩ]の抵抗R2を図1(a)のように接続し、周波数200[Hz]から1[kHz]まで変化させ、入力電圧と出力電圧を電子電圧計で測定した。この時に、入力電圧が1[V]になるように発振器を操作して調整し、周波数は、各ディケードにおいて1、2、3、5、7のきざみになるように測定した。

3.1.4 直列共振回路の周波数特性

図9に直列共振回路の周波数測定する時の設置図、図9に直列共振回路のパネル上の図を示す。

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①図9,10のように直列共振回路を構成し、電子電圧計、発振器、共振回路の特性測定のパネルを接続した。この実験回路で、“直列回路Ⅽ”と記載されている端子にコンデンサを挿入し、両電圧計のレンジは、最も大きな電圧が測定できる位置にしておいた。
②実験測定前に、15[nF]のコンデンサCと270[μH]のコイルLによる共振周波数f0を計算した。そして、共振回路に加える電圧V1を10[mV]になるように一定に保ち、計算値の共振周波数を中心に±30[kHz]まで変え、V2を測定した。この際に、共振周波数付近の変化の激しい周波数範囲では、1[kHz]おきに、裾の方の変化が穏やかなところでは、5[kHz]おきに測定して、実測の共振周波数f0を調べた。
オームの法則より、I= V2/R2を用いて、測定した電圧V2から電流を求めて、横軸に周波数、縦軸に電流Iをとり、共振曲線を描いた。
④直列共振時には、VLとVCの値が、共振回路に加えた電圧V1よりも大きくなることを確認した。この際には、電圧計の入力容量やケーブルが並列接続されて共振周波数がずれるので、発振器の周波数を調整して、VLとVCの最大値を測定した。実験で用いた電子電圧計を使用するので、測定レンジを最も大きな電圧が測定できる位置にしてから、V2の測定端子を外すようにした。コイルの端子間電圧測定時には、“VL”と記された端子の黒い側の電圧計からのケーブルの黒いバナナチップが来るように接続した。コンデンサの時も同様に、“VC”と記された端子の黒い側の電圧計からのケーブルの黒いバナナチップが来るように接続した。


3.2 実験装置


実験装置をまとめた表を表1に、実験装置の写真を図11、図12、図13、図14、図15、図16に示す。

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図13 TWO CHANNEL DIGITAL STORAGE OSCILLOSCOPE
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図14 DIGITAL HITTESTER 
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 図15 受動素子の特性測定のパネル
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図16 共振回路の特性測定のパネル

4.実験結果

4.1 インピータンスの測定

4.1.1 RR回路


使用した抵抗の抵抗値は、 R1=97.94[Ω]、R2=97.02[Ω]である。
合成インピータンスをZ、電流をIとすると、
Z=97.94+97.02=194.76[Ω]
オームの法則より
V_1=194.76I[V]
抵抗の比より、
V_2=R_2/Z V_1=97.02/194.76 V_1=97.02/194.76×194.76I=97.02I[V]
また、電圧比で考えてみると
|V_2/V_1 |=97.02/194.76≒0.49815≒0.50
よって、V2は、V1の約0.50倍ということがわかる。
また、抵抗R1,R2は両方とも実数であるので位相差がない。
この時に最大電圧が2[V]、周波数がf[kHz]の正弦波電圧(V1)を印加して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値と位相を求める。
電圧V1の最大電圧は、2[V]であるので、電圧V2の最大電圧は、V2は、V1の約0.50倍であり、位相差がないことから、
V_2=0.49815×2=0.9963≒1[V]
これによって、電圧V2の最大値は、約1[V]である。
     そして、V2の位相は、抵抗は、実数であることから、位相は、時間t=0の時を考えると0である。
     この時のV2とV1の関係としてひとつのグラフに図17に示す。
          

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図 17 交流RR直列回路の電圧特性

この図17には、V2とV1の正弦波の位相差はなく、V2は、V1の約0.50倍であることが示されている。

次に、実験で確認したV1、V2の電圧の最大値を示す。
V1、V2の電圧の最大値は、
V1=2.00[V]、V2=1.00[V]となり、同じ位相で正弦波を作っていたので位相差は、0[°]であった。
オシロスコープで確認した図を図18に示す。

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図18 オシロスコープで確認した交流RR直列回路の電圧特性

4.1.2 CR回路


使用した抵抗とコンデンサの値は、 C=0.1004[μF]、R2=97.02[Ω]、周波数は、11[kHz]である。
この時の合成インピーダンスZは、
Z=R_2+1/jωC=R_2-j/2πfC=97.02-j/(2π×0.1004×11×10^(-6)×10^3 )
≒97.02-j144.1099  ≒97.02-j1.5×10^2 [Ω]
     このインピータンスの絶対値は、
     |Z|=√*2=79084.72705≒79×10^3=79[kHz]
と上記のように共振周波数が、79「kHz]と求めることができる。
表3に共振回路に加える電圧V1を10[mV]に一定に保ち、おおよそf0の±30[kHz]の範囲である50[kHz]から110[kHz]まで周波数を変えて、V2を測定した値を表にして示す。

    

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表 3 直列共振回路の周波数と電圧V2

表3から、実測の共振周波数を求める。共振周波数の時、抵抗は、実数となって、このときの電流Iは、最大になる。なので、V2が最大になれば、電流も最大になるので、表3のV2の電圧で最大なのは、0.00308[V]である。このことから、実測の共振周波数は、82[kHz]と考えられる。

図10から、抵抗R2は、1.5[Ω]であることがわかるので、表4に、周波数を表3のように変化した時の電流Iの変化を示す。

    

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表 4  直列共振回路の周波数と電流

この表4を用いて、共振曲線を図26に示す。

   

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図26 直列共振回路の周波数と電流

図14では、実測の共振周波数に近くなればなるど、電流の値が大きくなり、実測の共振周波数に遠くなればなるほど電流の値が小さくなることがわかる。また、電流が大きくなる時は右肩上がりの2次曲線のようになり、小さくなる時には右肩下がりの2次曲線になっている。

次に直列共振回路において、コンデンサの電圧VCとコイルの電圧VLが、最大の時の電圧と周波数を示す。

コンデンサの電圧の時
周波数fが、81.24[kHz]の時、コンデンサの最大電圧VCは、0.258[V]となった。

コイルの電圧の時
周波数fが、81.74[kHz]の時、コイルの最大電圧VLは、0.268[V]となった。

5.考察

5.1  RR回路のインピータンス測定


理論で考えた電圧V2は、電圧V1が、2[V]の時に0.9963[V]となった。実験で測定した電圧V2は、図18から電圧V1が、2[V]の時に1[V]となることがわかる。理論値の電圧V2は、1桁に約分すると、1[V]となることから、おおよそ出力される電圧V2は、同じであると考えることができる。次に図17と図18を比べてみる。電圧V1と電圧V2の位相も同じで同じ波形を作っている。また、電圧V1は電圧V2の2倍になっており、理論値が正しいことを示していることがわかる。このことから、RR回路の実験と理論の波形は一致していたと考えることができる。

5.2 RC回路のインピータンス測定


理論値の電圧V2は、電圧V1が、2[V]の時に1.117[V]となった。実験で測定した電圧V2は、図18から電圧V1が、2[V]の時に1.12[V]となることがわかる。実験値と理論値との差は、
|1.12-1.117|=0.003[V]となり、実験値の桁数に合わせると、約分した実験値の桁数は、1.12[V]となり一致すると考えることができる。次に電圧V1と電圧V2の時間差を考えていく。理論値は、1.4×10^(-5) [sec]となった。そして、実験値は、1.400×10^(-5) [sec]となった。このことから、実験値と理論値は一致したと考えることができる。次に図19と図21を比べてみる。電圧V2は電圧V1の位相よりも1.4×10^(-5) [sec]遅れて進んでいて、同じ波形を作っていることがわかる。また、電圧V1は電圧V2の0.56倍になっており、理論値が正しいことを示していることがわかる。このことから、CR回路の実験と理論の波形は一致していたと考えることができる。次になぜ、電圧V2は電圧V1の位相よりも遅れて進んでいるのかを考える。図19のベクトル図を見ると、コンデンサの抵抗が、虚軸の負の値に存在するために、コンデンサの電圧は、虚軸の負の方向を向く。そして、抵抗の電圧は、実軸の正の方向にある為に抵抗の電圧は実軸の正の方向を向く。そのため、電圧V1は、抵抗とコンデンサの電圧の合計なので実軸から時計回りにθ進んだ方向に存在することになる。、これにより、抵抗の電圧V2は、電圧V1にθ分遅れて波形が現れることがわかる。


5.3 RL回路のインピータンス測定


次にインピータンスの測定実験のLR回路を考えていく。理論値の電圧V2は、電圧V1が、2[V]の時に1.9[V]となった。実験で測定した電圧V2は、図18から電圧V1が、2[V]の時に1.72[V]となることがわかる。このことから、電圧には、約0.18[V]の差が生まれてしまっていることがわかる。この原因を考える。実験で使用したコイルの抵抗は、11.4[Ω]になった。図22を見てみると、コイルの抵抗は、虚軸の正方向にしかなく、実軸には、抵抗が存在していないはずである。しかし、存在しているので、R2には、その分の抵抗を増やさなければいけない。これを図27に図として示す。また、コイルの抵抗値をコイルの直列等価回路における直列抵抗として考える。

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図27 Lの抵抗をふまえたLR直列回路のベクトル図

抵抗R2は、
R_2=97.02+11.4=108.42[Ω]
として考えることができる。そのため、合成インピータンスは、
Z=R_2+jωL≒108.42+j33.4903≒108.42+j33[Ω]
  このため、合成インピータンスの絶対値は、
 |Z|=√*3と表されることがわかる。なので、入力電圧Vinを1[V]、抵抗は、2[kΩ]、コンデンサは、103[pF]=1.0×10-8[F]として、10[µs]ごとの出力電圧V2を表5に示すと、

                    

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表5 CRの積分回路の時間と電圧

この表5を用いて、横軸に時間、縦軸に出力電圧を用いた図を図28に示す。

  

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図28 CRの積分回路の過渡応答

微分回路の過渡応答から、積分回路の過渡応答は、図28になると予想できる。

5.7 ハイパスフィルタの特性測定


次にハイパスフィルタの特性測定において考える。ハイパスフィルタの特性測定で得た値を縦軸に入力電圧1[V]の時の電圧の入力比と横軸に周波数を片対数グラフに示した図を図29に示す。また、図30に縦軸に電圧の入出力比、横軸に周波数とした図を両対数グラフに示す。ただし、遮断周波数があるのは、入出力電圧の0.707倍の所なので、その電圧比が、横軸と水平になるような直線を取るようにする。

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図29 ハイパスフィルタの電圧の入出力比と周波数(片対数グラフ)
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図30 ハイパスフィルタの電圧入出力比と周波数(両対数グラフ)

周波数特性を見るために、電圧の入出力比をデシベル表示にしたものを表6に示す。

 

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表 6 CR回路の周波数特性(デシベル表示)

表6の周波数とデシベル表示の電圧の入出力比を図31に示す。

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図31 ハイパスフィルタのデシベル表記の電圧入出力比と周波数

遮断周波数は、図29から、7.6×103[Hz]、図30から、7.9×103[Hz]、図31から7.6×103[Hz]と求めることができた。遮断周波数は、f=1/2πRCと求めることができるので、R=2[kΩ]、C=103[pF]から
f=1/2πRC=1/(2π×2×10^(-5) )=7957.74=8.0×10^3 [Hz]
と求めることができた。この値とグラフから読み取った値は、ほぼ一致していて、電圧比の0.707倍の入出力比の所や-3[dB]の所で同じような遮断周波数を確認できた。また、高周波のところに行くと値の上昇は止まり一定の電圧の入出力比になることから、ハイパスフィルタの性質が現れていると考えることができる。

この性質が、図1(b)のRC回路にも表れると考えられる。原理より出力電圧はv_out=V_in (1-e^(-t/CR))と表されることがわかる。なので、入力電圧Vinを1[V]、抵抗は、2[kΩ]、コンデンサは、103[pF]=1.0×10-8[F]として、1から表2の電圧の入出力比を引けば、出力電圧が求められることを利用して、周波数と電圧の入出力比の表を表7として作成する。

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表7 RC回路の周波数と電圧の入出力比

この表7を参考にして、片対数グラフにRC回路の周波数と電圧の入出力比のグラフを図32として作成する。
図31が、図1(b)の積分回路の周波数特性を測るときに測定されるグラフだと考えられる。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-40-744x1024.png
 
図32 積分回路の周波数と電圧の入出力比

 5.8 直列共振回路の周波数特性


直列共振回路の周波数特性の実験において、共振周波数の時に電流が最大であるかを確認する。
表4を見ると、電流が、最も大きい時の周波数は、82[kHz]となっている。この値が、実測の共振周波数と考えられる。理論値の共振周波数は、79[kHz]となっている。実験値と理論値との差は、3[kHz]となっている。このことから相対誤差を求めてみる。
(82-79)/79×100=3/79×100≒3.797≒3.8[%]
となった。なぜ、実測値と理論値が一致しなかったかを考える。まず、コンデンサやコイルが確実に接続されていなかった可能性がある。確実に接続されていなかったために、コンデンサやコイルのインピータンスの値が、小さくとられてしまったために、実験値の方が大きくなったと考えられる。確実に接続されなかった原因として、コンデンサやコイルの接続部分に手の油がついてたり、錆が生まれてしまったり、パネルの奥深くまで刺さっていなかったなどのことが考えられる。次に、コイルやコンデンサのインピータンスの値が、劣化したために減少してしまったことが考えられる。その結果、実測値の周波数が大きくなったと考えられた。以上のことが、一致しなかった原因だと考えられた。
5.9 直列共振回路の周波数特性でVLとVCが一致しなかった理由
次に直列共振回路の周波数特性の実験において、共振周波数の時のコンデンサの電圧とコイルの電圧を示す。コンデンサの電圧の時、周波数fが、81.24[kHz]の時、コンデンサの最大電圧VCは、0.258[V]、コイルの電 圧の時、周波数fが、81.74[kHz]の時、コイルの最大電圧VLは、0.268[V]となった。これは、コンデンサとコイルの最大電圧の時であり、共振周波数に近い値になっているのにも関わらず、なぜ一致していないかを考える。コイルのインピータンスには、図27に示した通りに、インピータンスに抵抗の値が含まれている。そのため、コイルのインピータンスに追加として、抵抗のインピータンスが加わってしまうことがわかる。そのため、理論値のコイルのインダクタンスよりも実験値のコイルのインダクタンスの方が大きくなることがわかる。このため、コイルのインピータンスをZ、電圧をV、電流をIとおくと、オームの法則より、V=ZIとなるので、理論値よりも実験値の値が大きくなるために、コイルの電圧よりも大きくなってしまい、一致しないという結果が生まれてしまったと考えられる。
また、コイルにおいても、電子電圧計の導線が、極板のような役割を担っており、コンデンサとして扱うことができる。そのため、電子電圧計のコンデンサをC2、実験値のコンデンサをC1とおくとコンデンサの並列接続をしているので、(C_1 C_2)/(C_1+C_2 )[F]と表すことができる。そのため、合成インピータンスが変化してしまったので、共振周波数の時にコイルとコンデンサの電圧が一致しなかったと考えられる。

5.10 並列共振回路の周波数特性の予測


次に並列共振回路の周波数特性の予測を行う。[5]共振周波数は、直列共振回路の周波数特性の実験を行ったときと同じ、f=ω/2π=1/(2π√LC) を利用するので、理論値の共振周波数は、79[kHz]と考えられる。そのため、並列共振回路の周波数特性のグラフを書く時の周波数の範囲は、50[kHz]以上110[kHz]以下だと考えられる。
次に、抵抗の電圧を式で表すと
V=I/(1/R+j(ωC-1/ωL))
と表せられる。共振周波数の時、ωC=1/ωL となるので、この時の電圧は、V=RIと示すことができる。分母の値が、共振周波数の時最少となるので、この時の電圧は最大になると考えられる。このことから、共振周波数に近づくにつれて、抵抗の電圧が大きくなり、共振周波数を超えたら、次第に抵抗の電圧が小さくなると考えられる。

5.11 並列共振回路の周波数特性で共振回路の非対称性が認められる理由


並列共振回路の周波数特性の図32とは異なり、実際の実験では、抵抗の電圧と周波数の図において非対称性が見られるようである。なので、次に、その非対称性はなぜ発生したのかを考えていく。抵抗の電流は、
I=V[1/R+j(ωC-1/ωL)]
と表すことができる。コンデンサとコイルの周波数特性を見るので、抵抗は考えなくてもいいので、
なので、電流の電圧は、
I=V[j(ωC-1/ωL)]
と表すことができる。この電流の絶対値を求めると、
I=|V[j(ωC-1/ωL)]|

この時、図19と図22を考慮して考えると、電流に対して、コンデンサとコイルの電圧は、90[°]と-90[°]位相がずれていることがわかる。。共振周波数の時に、ωC-1/ωLの値は、0になることから、この共振周波数の時の電流は、コンデンサとコイルの位相が180[°]ずれているために、0[A]になることが考えられる。この共振周波数が、高い時には、コイルの値が小さくなるので、コンデンサの周波数特性が出て、共振周波数が低い時に、コンデンサが小さくなりコイルの周波数特性が大きく出ると考えられる。なので、周波数が、高い時と低い時の電流を考えると、
周波数が高い時
I=|Vj(ωC)|=VωC
周波数が低い時
I=|-Vj 1/ωL|=V 1/ωL

このようになるときの電流の図を考えてみると、共振周波数より大きい時にコンデンサの周波数特性が出て、1次直線が出て、共振周波数より小さい時には、曲線になると考えられる。それを図に表すと、

   

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図33 並列共振回路の非対称の共振曲線

図33を見ると、低い周波数の方が右下がりの双曲線を描いて電流が小さくなり、高い周波数の方が、右上がりの1次直線を描いて、電流が大きくなることを見て取ることができる。

参考文献
[1]"ハイパス‐フィルター【high pass filter】", デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (https://japanknowledge.com ), (参照 2021-10-06)
[2]"ローパス‐フィルター【low pass filter】", デジタル大辞泉, JapanKnowledge,( https://japanknowledge.com ), (参照 2021-10-06)
[3]高木茂考:EE Text アナログ電子回路,p17,オーム社,2020年,第1版第5刷.     
[4]高木茂考:EE Text アナログ電子回路,p18,オーム社,2020年,第1版第5刷.   
[5]加藤政一,和田茂雄,佐野雅敏,田井野徹,鷹野致和,高田進:専門基礎ライブラリー電気回路改訂版,p106,実教出版株式会社,2019年,第3刷.

終わりに

このレポートが参考になれば幸いです。

*1:-1)/2) |=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }[dB]〗 〗
ωRCを3つの領域に分けて考える。
(1) (ωRC)^2≪1
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の(ωRC)^2は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }≒-10{log⁡(1)-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }=10{log⁡〖(ωRC)^2 〗 }[dB]
(2) (ωRC)^2=1
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }≒-10{log⁡(2)-log⁡〖(1)^2 〗 }≒-3.01[dB]
(3) (ωRC)^2→∞
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の1は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }≒-10{log⁡((ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }→0[dB]
(4) (ωRC)^2→0
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の(ωRC)^2は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 )-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }≒-10{log⁡(1)-log⁡〖(ωRC)^2 〗 }=-∞[dB]
となり、(ωRC)^2=1のときに、遮断周波数が発生する。

(ⅰ)図1(b)のCR回路
このCR回路の利得Aは、
A=1/√(1+(ωRC)^2 )
と表される。この値を、デシベル表示に直すと、
G_V=20 log_10⁡〖|A|=20 log_10⁡〖|{1+(ωRC)^2 }^((-1)/2) |=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 ) }[dB]〗 〗
ωRCを3つの領域に分けて考える。
(1) (ωRC)^2≪1
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の(ωRC)^2は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 ) }≒-10{log⁡(1) }=0[dB]
(2) (ωRC)^2=1
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 ) }≒-10{log⁡(2) }≒-3.01[dB]
(3) (ωRC)^2→∞
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の1は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 ) }≒-10{log⁡((ωRC)^2 ) }→-20{log⁡(ωRC) }[dB]
(4) (ωRC)^2→0
この時、log⁡(1+(ωRC)^2 )の(ωRC)^2は、無視できるので、
G_V=-10{log⁡(1+(ωRC)^2 ) }≒-10{log⁡(1) }=0[dB]
となり、(ωRC)^2=1のときに、遮断周波数が発生する。

2.7 RLC共振回路


(ⅰ)直列共振回路
図4にRLCの直列している接続してる図を示す。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-4.png
 

              
       図4 RLC直列接続回路

この時の合成インピータンスは、抵抗をR,コンデンサをC,コイルをLとおくと
Z=R+j(ωL-1/ωC)
と表すことができる。角周波数をω、電圧をV.電流をIとおくと、キルヒホッフの法則より、電流は
I=V/(R+j(ωL-1/ωC

*2:97.02)^2+(144.11)^2 )≒173.725≒1.7×10^2 [Ω]
この時に最大電圧が2[V]、周波数が11[kHz]の正弦波電圧(V1)を印加して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値と位相を求める。
電圧V2の最大電圧は、電圧V1の最大電圧が2[V]であることから、抵抗の比を用いて求める。
V_2=|R_2/Z| V_1=97.02/173.725×2≒0.558×2≒1.1169≒1.1[V]
  電圧V2の位相は、時間t=0の時に、抵抗は、実軸の正の方向、コンダクタは、虚軸の負の方向に伸び
ているのでその2つの線がなす角度を逆三角関数を用いて求める。求める位相をθとおくと、
θ=tan^(-1)⁡〖((1/jωC)/R_2 )=tan^(-1)⁡〖((-144.1099)/97.02)=〗 〗-56[°]
周期Tにおいて、電圧V1と電圧V2の時間差x[sec]を考える。
x=T×|θ|/360=1/f×|θ|/360=1/(11×10^3 )×56/360=1.4141×10^(-5)=1.4×10^(-5) [sec]
RC回路が直列接続して、時間t=0の時のインピータンスと電流のベクトル図を図19に示す。

        

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図 19 RC直列回路のベクトル図

図19から電圧V1は、電圧V2よりもθ遅れているので、電圧V1は、電圧V2よりも約1.4×10^(-5) se
cいることがわかる。

このことをふまえて、V2とV1の関係としてひとつのグラフに図20に示す。

      

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-22.png
 
図20 交流RC直列回路の電圧特性

この図20には、V2とV1の正弦波の位相差は、56[°]、V2は、V1の約0.56倍であることが示されている。
     次に、実験で確認したV1、V2の電圧の最大値を示す。
V1、V2の電圧の最大値は、V1=2.00[V]、V2=1.12[V]となった。
V1、V2の時間差は、1.400×10^(-5)[s]となった。
CR直列回路をオシロスコープで確認した図を図21に示す。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-23.png
 
図21 オシロスコープで確認した交流RC直列回路の電圧特性

4.1.3 RL回路

使用した抵抗とコイルの値は、 L=484.56[μH]、R2=97.02[Ω]、周波数は、11[kHz]である。
この時の合成インピーダンスZは、
Z=R_2+jωL=R_2+j2πfL=97.02+j2π×11×10^3×484.56×10^(-6)
≒97.02+j33.4903≒97.02+j33[Ω]
     このインピータンスの絶対値は、
     |Z|=√((97.02)^2+(33.4903)^2 )≒102.638≒1.0×10^2 [Ω]
この時に最大電圧が2[V]、周波数が11[kHz]の正弦波電圧(V1)を印加して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値と位相を求める。
電圧V2の最大電圧は、電圧V1の最大電圧が2[V]であることから、抵抗の比を用いて求める。
V_2=|R_2/Z| V_1=97.02/102.638×2≒0.9453×2≒1.8905≒1.9[V]
電圧V2の位相は、時間t=0の時に、抵抗は、実軸の正の方向、コンダクタは、虚軸の正の方向に伸びているのでその2つの線がなす角度を逆三角関数を用いて求める。求める位相をθ_2とおくと、
θ_2=tan^(-1)⁡〖(jωL/R_2 )=tan^(-1)⁡〖(33.4903/97.02)≒〗 〗19[°]
周期Tにおいて、電圧V1と電圧V2の時間差x[sec]を考える。
x=T×|θ|/360=1/f×|θ|/360=1/(11×10^3 )×19/360=4.7979×10^(-6)=4.8×10^(-6) [sec]

RC回路が直列接続して、時間t=0の時のインピータンスと電流のベクトル図を図22に示す。

       

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-24.png
 
図22 RL直列回路のベクトル図

図19から電圧V1は、電圧V2よりもθ_2進んでいるので、電圧V1は、電圧V2よりも約4.8×10^(-6) [sec]
進んでいることがわかる。
このことをふまえて、V2とV1の関係としてひとつのグラフに図23に示す。

      

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-25.png
 
図23 交流RL直列回路の電圧特性

この図23には、V2とV1の正弦波の位相差は、19[°]、V2は、V1の約0.96倍であることが示されている。
     次に、実験で確認したV1、V2の電圧の最大値を示す。
V1、V2の電圧の最大値は、V1=2.00[V]、V2=1.72[V]となった。
V1、V2の時間差は、4.400×10^(-6)[s]となった。

RL直列回路をオシロスコープで確認した図を図24に示す。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-26.png
 
図24 オシロスコープで確認した交流RL直列回路の電圧特性

4.1.4 抵抗値の測定


デジタルマルチメーターで測定したコイルとコンデンサの抵抗値を示す。
コイル 11.4[Ω]

コンデンサ O.F[MΩ]

4.2 微分回路の過渡応答


図25に103[pF]のコンデンサCと2[kΩ]の抵抗R2を図1(a)のように接続し、これに最大電圧2[V]、周波数がfの短形波電圧(V1)を印加し、抵抗R2の端子間電圧をオシロスコープで観察した図を示す。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-27.png
 
図25 CR回路の過渡応答

図25の青色の線が、R2の電圧、橙色の線が、V1の電圧を示している。青色の線は、図2のように0[V]に曲線を描きながら向かっているのがわかる。
この実験で求められた時定数は、20[μs]=2.0×10-5[s]となった。

4.3 ハイパスフィルタの特性測定


実験で使用した抵抗R2とコンデンサCの抵抗値と容量を示す。
R2=2[kΩ] C=1.0×10-8=10[nF]

次に、周波数200[Hz]から1[kHz]まで各ディケードにおいて1、2、3、5、7のきざみになるように変化させ、発振器を操作して入力電圧を1[V]にして測定した電圧の入出力比を表2にして示す。

     

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-28.png
 
表 2 CR回路の周波数特性

4.4 直列共振回路の周波数特性


実験で使用したコンデンサCの容量、コイルLのインダクタンスの値を示す。
C=15[nF]、L=270[μH]

この時の共振周波数は、原理より、f_0=1/(2π√LC) と表せられるので、
f_0=1/(2π×√(15×10^(-9)×270×10^(-6)

*3:108.42)^2+(33.4903)^2 )≒113.47≒1.1×10^2 [Ω]
この時に最大電圧が2[V]、周波数が11[kHz]の正弦波電圧(V1)を印加して、R2の端子間にあらわれた電圧V2の最大値と位相を求める。
電圧V2の最大電圧は、電圧V1の最大電圧が2[V]であることから、抵抗の比を用いて求める。ただし、この時の抵抗R2は、コイルの抵抗を足したものなので、引いた値を用いるようにする
V_2=|(R_2-11.4)/Z| V_1=97.02/113.47×2≒0.8550×2≒1.7100≒1.71[V]
コイルの抵抗をふまえて考えたら、理論値は、実験値の電圧V2の1.72[V]により近い値の1.71[V]を導き出すことができた。このことから、コイルの抵抗をふまえれば、電圧V2の理論値と実験値は一致することがわかる。。次に電圧V1と電圧V2の時間差を考えていく。時間差の理論値は、4.8×10-6[sec]、実験値は、4.4×10-6[sec]となった。理論値と実験値を比べてみると、0.4×10-6[sec]の差がある。これは、図27のように、コイルに抵抗が生まれてしまったことで実軸と電圧V2がなす角度に変化が生じてしまったからだと考えられる。まずは、この角度θ_3を求めて、時間差tを考えてみる。
   θ_3=tan^(-1)⁡〖(ωL/R_2 )=〗 tan^(-1)⁡〖(33.4903/108.42)=17.166[°]〗
t=T×17.166/360=17.166/360f=17.166/(360×11×10^3 )≒4.3347×10^(-6)=4.3×10^(-6) [sec]
コイルの抵抗をふまえて考えたら、理論値は、実験値の時間差4.4×10-6[sec]により近い値の4.3×10-6[sec]を導き出すことができた。しかし、約0.1×10-6[sec]理論値と実験値に差が出ている。これは、オシロスコープで電圧の時間差を測った際に手動で合わせたことが原因でずれが出てしまったことが原因と考えられる。それがなければ理論値と実験値は一致していたと考えることができる。次に図23、図24を比べてみる。電圧V2は電圧V1より4.4×10^(-6) [sec]早く進みながら、同じ波形を作っていることがわかる。また、電圧V1は電圧V2の0.855倍になっており、理論値が正しいことを示していることがわかる。このことから、CR回路の実験と理論の波形は一致していたと考えることができる。

5.4 微分回路の過渡応答


  微分回路の過渡応答について考えていく。まずは、理論値の時定数を求める。時定数は、τ=1/ω=RCで求められる。抵抗は、2[kΩ]、コンデンサは、103[pF]=1.0×10-8[F]であるので、時定数は、
τ=RC=2×10^3×10^(-8)=2×10^(-5)=20[μs]

次に実験した時の時定数を示す。実験では、電圧V2の最大電圧の0.368倍の値を用いて、横軸に水平な直線を描き、曲線との交点の横軸の値が実験で求めた時定数になっている。これは、図25の縦軸に水平な青色の直線が示している。そうして、実験から求められた時定数は、20[µs]である。この値は、理論値と一致するので、実験値と理論値は一致したと考えることができる。


5.5 積分回路の過渡応答の予測


次に、この微分回路の過渡現象から積分回路の過渡現象を考えていく。積分回路の過渡現象はコンデンサの電圧を考えるので、原理よりv_out=V_in (1-e^(-t/CR